2010年7月26日月曜日

京都近代史のなかの図書館

事務局2号です。

このほど2刷が出た
丸山宏・伊從勉・高木博志編『みやこの近代』(思文閣出版、初版は2008)に
「日本初の公共図書館」として集書院のことが
また、
「京大図書館の開設」「初代図書館長 島文次郎」と題して
京大図書館や島文次郎、関西文庫協会のことが述べられています。
(いずれも廣庭基介氏の筆によるものです)

京大図書館は、木下総長の構想では一般公開を目指していたらしく
「我が国の如き東京に唯一あるのみ」で不便なので
「京都に之を開設して、我国西部の必要に応ずべし」という
廣庭氏の表現を借りれば「帝国図書館関西館」の構想だった、
と位置づけられています。

また、若手漢詩人のホープで、京都の教養層にも親しまれている
野口寧斎の弟・島文次郎が初代図書館長に着任したことは、
京都の反東京感情を和らげる効果があったという
なかなか興味深い指摘もあります。


なお、思文閣出版が発行している『鴨東通信』no.78には
本書編者の一人である伊從勉氏が
「近代古都の公文書保存と公開」という一文を寄せられています。

「文書保存の管理の能力も歴史都市の格を構成する」

とさらりと書かれていて、(個人的に)思わず唸りました。

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