この関西文脈の会は、2009年夏に東京の図書館関係者の私的な勉強会として発足した文脈の会に呼応する形で発足いたしました。その意味で、東京と関西は姉妹団体の関係にあります。
このたび、東京文脈の会事務局の方から、活動内容のご紹介をいただきましたので、図書館史に関連する情報紹介の意味で、その内容を掲載いたします。
東京では『中小レポート』の輪読会を継続的に行っており、今回は第3章以降を扱って議論した、とのことです。
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『中小レポート』輪読会
【日時】 7月29日(木) 19:00~21:00
【報告者】 柳与志夫、小林昌樹
【参加者】 10名
「第3章 図書館資料とその整理」について
- 「俗悪な出版物」と書いてある箇所は具体的に何か?という疑問に対し、前川氏による山手樹一郎批判があったとの指摘があり、貸本屋批判、公共図書館の貸本屋との棲み分けを指しているのではないかとの指摘があった。
- これまでの中小レポートの読み方は内在的な読解であり、中小レポートの記述全体を当時の社会状況に置きなおしてみる必要があろう、との意見も出された。
- 貸本屋研究については、最近ようやく『全国貸本屋新聞』の復刻が出されたが、資料が圧倒的に不足していて、一部の貸本マンガ研究を除くと、まだまだこれから検討課題が多いようである。
- 亡失対策の部分では、物品会計法規への注目もされているが、法規の解釈の面では疑問がある、との指摘もされた。
「第4章 管理」「第5章 図書館の施設」について
- 1冊の中で管理について4分の1も記述が当てられているのは画期的で、図書館関係者が触れない組織や法規、広報などの項目が立てられていることは、時代的制約があるとはいえ評価できるのではないか。
- 「本好き」という職員要件に、愛書家や小説読みではなくて、「情報・知識への関心」を求めている点も評価できる。
- 統計についても、ルーティンとしてではなく、政策の手段として位置づけられている。
その他、若々しく、全体的なことを考えようとしていることが感じられる一方、収集論についてはちょっと浅いのではないかという意見も出された。
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終了後は懇親会が開かれたそうです。
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